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要望書


旧本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会では、さる7月8日に横浜市に対して、次のような要望書を提出しています。

平成17年7月8日

横浜市 
 市長 中田 宏 殿

旧本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会
代表  中 嶋 清 美

               

 旧本牧スタンダード石油社宅とその敷地保全についての要望

 横浜市中区本牧元町75(417-1)(※土地登記上は神鋼商事(株)所有)にチェコ出身のアメリカ人建築家、故アントニン・レーモンドが設計した旧スタンダード石油の社宅が空き家のまま残っています。

A. レーモンドは、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルを建設する時に助手として来日、後に日本に留まって活躍し、日本の近代建築に大きい足跡を残した建築家です。1949〜1950年に建てられたこの社宅は、A.レーモンドが戦後再び来日し、最初に建てた作品で、日本の木造建築に普遍性のある近代的デザインを持ち込んだ嚆矢となるたいへん貴重な建築です。当時、東京の伊皿子や横浜の山手にも建てられましたが、今は取り壊され、この本牧に2戸(平屋1棟、二階建1棟)を残すのみとなりました。コンクリート打放しに大型の木製サッシュをはめ込んだ建物は素晴らしく、特にこの住宅の「芯はずし」という工法はレーモンド独特もので、建築史的にみてもたいへん重要なモダニズム建築と言われています。

 このA.レーモンド設計のスタンダード石油の社宅に対して、当時、横浜市の平沼亮三市長より「BUILDING HONORED FOR THE YEAR OF 1953」が与えられ、その記念すべきプレートが現在も八聖殿入り口脇の石垣に残っています。

 50年以上を経た今、当時敷地に植えられた木々は大きく成長し、その繁茂する緑は四季折々姿を変え、春にはサクラが咲き小鳥がさえずり、夏は蝉のすみかとなり、秋は色鮮やかな紅葉に変わり、近隣の住民や八聖殿を訪れる人々、高風保育園に通う子どもたちにとってかけがえのない自然環境となっています。

 さて、建築史的・文化史的にみてたいへん貴重な建物と豊かな自然があるこの土地に昨年6月、ある開発業者((株)洋光)が宗教法人と組んで墓地建設計画をする動きがあり、先般、本牧元町南部町内会と本牧大里町町内会と合同で1733名の反対署名を集め、市長宛に近隣環境へ悪影響を及ぼすということで、計画反対の要望書を提出しております。

私たちはこうした立場を支持するとともに、墓地の建設によって一度失われた建物や自然は二度と戻ってこないことを思うとき、このような貴重な建物や自然が後世に永く受け継がれ、横浜市民の貴重な財産となることを切に願い、建物とその環境の保全を要望するに至りました。

 最近では1989年にオランダで生まれたDOCOMOMO(Documentation and Conservation of buildings ,sites and neighborhoods of the Modern Movement=近代建築に関する建物、敷地、環境の資料化と保存)の活動のようにモダニズム建築を評価しようという動きが国際的にも国内的にも活発になってきております。

 市の緊迫した財政状況は充分に承知しておりますが、どうか貴重な建物を保存し、緑豊かな自然環境を守りたいという住民の願いをご理解頂き、建物及びそれを取り巻く環境の保全に向けて格別のご配慮を賜りたく、お願い申し上げる次第でございます。


旧本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会
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