陳情書

平成18年6月1日

横浜市会議長 
 伊波 洋之助 様

陳情者     〒231-0822 横浜市中区本牧元町47-1
旧本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会
代表  中 嶋 清 美

旧本牧スタンダード石油社宅の保存とその敷地保全について

陳情項目

1) 建物の恒久的な保存と敷地内の自然環境の保全をはかっていただきたい。
2) 開発計画が認可されない前に解体工事及び敷地内の樹木の伐採が行われないよう指導をお願いしたい。
3) 市の文化財指定制度の対象範囲を戦後の建築物まで拡げていただきたい。

陳情の理由

 横浜市中区本牧元町75(417-1)に残るにチェコ出身のアメリカ人建築家、故アントニン・レーモンドが設計した旧本牧スタンダード石油社宅の保存とその景観の保全について、昨年2度、先頃4月27日と5月1日にも要望書及び陳情書を提出致しました。この件につきましては、教育委員会をはじめ担当部署において現在の所有者である(株)リクルートコスモスとの調整にご努力頂きまして感謝しております。
しかしながら、その結果は私たちが望んでいた社宅の保存と景観の保全とはほど遠く、改めてお願い申し上げる次第でございます。
この度、市教育委員会文化財課では旧本牧スタンダード社宅の歴史的な価値をお認め頂き、所有者に対して文化財登録制度を説明し保存を促して頂いたとのことですが、所有者の同意を得るに至らず、建物の解体を前提とした調査が5月12、13日と2日間にわたって行われ、誠に残念なことに翌週15日より建物の一部解体工事が始まってしまいました。これ以上の解体を止めさせ、建物とその景観を救うために今回の陳情を思い立ちました。
これまで度々ご案内してまいりましたとおり、1949〜1950年に建てられ本牧スタンダード社宅は、A.レーモンドが戦後再び来日し、最初に建てた作品で、日本の木造建築に普遍性のある近代的デザインを持ち込んだ嚆矢となるたいへん貴重な建築です。建物の文化財的価値については日本建築家協会(JIA)を始め、日本建築学会歴史意匠委員会、DOCOMOMO Japanなど、多くの学者や建築関係者がお認めになっています。
また、その敷地は樹木に覆われ、春には桜が美しく鶯が鳴き、夏は蝉時雨、秋には紅葉と四季折々変化をみせ、近隣の住民や八聖殿を訪れる人々、高風保育園に通う子どもたちにとってかけがえのない自然環境となっています。特に八聖殿へと続く深い緑に覆われた石垣沿いの景観は喩えようもなく美しく多くの人々に愛されています。
私どもの会はかねてよりA.レーモンド設計の社宅の保存と緑豊かな景観の恒久的な保全を求めてまいりました。昨年二度にわたる要望に対しては社宅が戦後の建造物であるため、県や市の文化財指定の範囲外としてお認めいただけませんでした。
 しかし、もはや戦後60年、最近では広島平和記念資料館や世界平和記念聖堂など、戦後の建築も重要文化財として認められるようになってきています。「歴史を生かしたまちづくり要綱」を定め、全国に先駆けて歴史的建造物の保全活用に努めてこられた横浜市としては、ここで一歩踏み出し、戦後の建造物も文化財の指定範囲に加える時期にきているのではないでしょうか。ご検討をよろしくお願い致します。
 社宅とその景観を救う手だては所有者より買い取るしかなく、私どもも横浜市の逼迫した財政事情は充分に承知しており、企業やトラスト関連の団体に働きかけるなどして保存の道を探ってまいりましたが、どこも財政的には厳しいものがあり解決策を見いだせないでおります。しかしながら、横浜市港北区にある「カーボン山」のように分割で土地を買い取ることによって桜の森が保全され、地域住民の願いが叶えられた例もあると聞いております。何らかの手だてを講じて頂くよう願望いたします。

最後になりましたが、文化財として残す価値のある建物をみすみす取り壊してしまうことなく、どうか市民の声に耳を傾け、恒久的な建物の保存と敷地の保全の道を探って頂きますよう、2,397名の署名を添えて重ねてお願い申し上げます。
 尚、私どもの会は、建物保存が実現しました場合は、運営や管理についてもできるかぎりの協力をさせて頂くことを申し添えさせて頂きます。


旧本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会
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